腕でセイルを操作するのは、とても筋力を使い疲労も著しい。
ハーネスを使うと、体全体でセイルを引けるために、長時間の楽なセイリングが可能になる。
その分長く練習できるから、このテクニックを身につけるかどうかで、その後の進歩は大きく変わる。
正直、大雑把な私は、適当にやっているのだけど、一応作法があるらしい。とりあえず、勉強した成果をメモっておく。
用語としては、
- ハーネス・・・・腰に巻きつける。前のおなかの部分にフックがついている。これをハーネスラインに引っかけて、セールに体重をかける。
- ハーネスライン・・・ブームに両端を取り付けてU字型にして使う紐。この紐のU字の底にハーネスのフックをひっかけて、セールに体重をかける。
- ブーム・・・セールの形を構成する部材の一部で、セールを立てた時に水平になる金属のバー。ハーネスラインを取り付けて、ハーネスで体重をかけたり、手で前傾させたり光景させたりして、ウィンドサーフィンの操縦をするための部位。
ハーネスラインのブームへの取り付け方
- ハーネスラインをブームへの装着部の2点の間隔・・・くっつける人も離す人もいるが、こぶし1個分の幅を原則とする。風の強さにかかわらずセールをコントロールしやすい。くっつけるのは上手な人が多く、それによりボード操作の感度があがるらしい。感度があがるということは、巧みな操作が必要だということになるので、普通の人は開けてとりつける。
- ハーネスラインの位置・・・ブームとマストのジョイント部に肘をついて、ブームに腕をそわせ、手の指の先がハーネスラインの位置、または、ブームとマストのジョイント部からブームを握って5つ分のこぶしのところがハーネスラインの位置。個人差もあるので、これを基本に調整。後述するが、片手でもセーリングで切るようなポジションが、適正位置と思われる。
- ハーネスラインの長さ・・・ハーネスラインの間に腕を入れて、U字型にたわんだ一番底に肘をついて、ブームを握った時に、ハーネスラインにたるみがないくらいが良い。これより長いと、リグと自分の距離が長くなり、力をいれやすくなり、早めのプレーニングも可能だろう。一方でとてもはずれやすくなる。初心者のうちは、風にあおられてセールの上に倒れたりすると危険なので、長めにしておいてすぐはずせるようにしたほうがいいと思う。
ハーネスの掛け・はずし・・・・とても重要な操作。微風・弱風・強風それぞれの風で十分に練習する。突風でとばされると、マストやブームにぶつかり大けがするおそれがある危険を十分意識すること。
- 重要な点は、ハーネスの掛け外しの時に、体を動かすだけではなく、セールを体に引き寄せるという作業を行うこと。
- ハーネスをハーネスラインにかけるときは、ブームを引き寄せながら、軽く腰を浮かしてハーネスラインにフックを掛ける。引き寄せることによってハーネスラインが垂れ下がり、引っかけやすくなる。
- ハーネスがハーネスラインにかかったら、ブームを元の位置に押しながら腰を落とす。腰を落とすことによりハーネスラインがはずれなくなる。
- ハーネスをハーネスラインから外す時は、ブームを引き寄せながら、軽く腰を浮かすとハーネスラインがフックから外れる。ブームを引き寄せないとはずれないので注意。外れたら、ブームを押し戻しながら、腰を落として、再びかからないようにフックとラインの距離を遠ざける。
リカバリーテクニック・・・・ハーネスをかけたまま突風を受けると足元をすくわれるようにセイルごと前に転びそうになり危険。このような形で、ブームやマストに体をぶつけると、骨折やひび割れ、歯をおったり重傷を負うこともあるので、リカバリーを学ぶことは重要。
- 突風を受けたら、かかったまあのフックを中心にマスト手を引き寄せセイル手を押してセイルを開く。するとセイルから風が抜けてバンランスを取り戻せる。その後、セイルと開いたまま腰を深く落として、後ろ足を元の位置に戻す。
- 突風を受けたら、セールを開きながらフック部分は引きつけて、自分は伸びあがってフックを即座に外して、セールと自分がばらばらにチンするようにするという選択もある。
- 風がなくなると、体重をかけていた反力を失うので、後ろにひっくり返りそうになる。その時は、マスト手でマストを突き出しながらブーム手でセイルを大きく引き込む。同時に膝を曲げてブームの下に潜り込むようにする。要するにベアさせるわけだが、引き込んだセイルパワーが、倒れそうだった体を浮き上がらせる。そこで、元の体勢に戻る。
- 風が無くなって、後ろに倒れたら、セイルが覆いかぶさって海面にでれず、なおかつ、ハーネスラインにフックがひっかかっていると体が動けないことがある。呼吸できずにパニック状態にならないように。あわてず、フックをはずして、少し水中を横に泳いでセールのわきに出るようにする。このとき、体は風上側に出ること。風下側にいると、突風で道具が吹き飛ばされて自分にぶつかることがある。
ハーネスは、危険でもあるので、よく練習する。特に、掛け外しは、強風・弱風いずれの場合でもできるように。突風で吹き飛ばされたら、ブームやマストにぶつからないようにどのような形でおちればいいのかをよく練習しておく。
初めてハーネスを使った時に陥りやすい錯覚・・・
- 腕でウィンドサーフィンをしてる場合、前腕、後ろ腕、そしてマストフットの3点でセールは支持されている。
- ハーネスを使うと、両腕の間にもう1点支点が増え、一見4点になったように感じ、これらを操作しようとして混乱する。
- 平面の位置は3点できまる。
- だから、4点のうちのどれか3点だけが働いて、残りの1点は補助的なものだということを意識する。
- たとえば、風上方向に走るならば、後ろ腕とハーネスとマストフットの3点。前腕は必要ないが、風の向きに順応させたりするのに補助的に使うと考える。
- なお、走行が安定した時に、前腕を使わずに走行し続ける練習をすると、フォームが矯正するのに役だつ。強風、弱風、微風のそれぞれの中で、マスターするといい。なお、突風に吹かれて倒れるときはさらに危険なので、上記のリカバリーも参照。